おさない あつし長内 厚
- 肩書き
- 早稲田大学大学院経営管理研究科・教授
- 出身・ゆかりの地
- 東京都
この講師のここがおすすめ
長内厚さんは、国内外を問わず、豊富な現場取材を元に、足で稼いだリアルな今を伝えることができる。学術的な理論構成を持ちながら、現場から吸収した知識、知恵、経験を元に問題点の解決策を具体的に提案。
講演では、企業内部のビジネスパーソンや、消費者という、より身近な視点を入り口にしながら、グローバルマーケットまで話を展開。暮らしや仕事に近い視点でわかりやすく経済や政治を語る。
プロフィール
1972 年、東京都生まれ。
1997 年、京都大学経済学部経済学科卒業後、ソニー株式会社入社。ソニーにて 10 年間、商品企画、技術企画などに従事。商品戦略担当事業本部長付を経て京都大学大学院に業務留学。博士号(経済学)取得後、神戸大学経済経営研究所准教授、ソニー株式会社外部アドバイザーなどを経て 2011 年より早稲田大学准教授。2016 年に現職。ハーバード大学客員研究員、台湾東海大学国際学院訪問教授などや、国内外の企業の顧問も務める。2016 年から現在、九州大学大学院経済学府客員教授、ビジネスブレークスルー大学大学院客員教授なども務める。フジテレビ「Live News α」レギュラー出演。ダイヤモンドオンライン連載中。近著は「イノベーション・マネジメント」(共著・中央経済社)。YouTube チャンネル「長内の部屋」を開設し、積極的に発信を行っている。
主なメディア出演
フジテレビ「Live News α」(2019 年〜レギュラー出演中)
NHK「クローズアップ現代+」/NHK BS1 「国際報道」
日本テレビ「NEWS ZERO」「真相報道バンキシャ!」
テレビ朝日「グッド!モーニング」、「報道ステーション」
読売テレビ「あさパラ S」「情報ライブ ミヤネ屋」
TBS「ひるおび!」「あさチャン!」
BS-TBS 「報道 1930」「週刊報道 Biz ストリート」 他多数
主な著書
『イノベーション・マネジメント』(中央経済社/共著)
『読まずにわかる!「経営学」イラスト講義」』(宝島社)
共著『台湾エレクトロニクス産業のものづくり』(日桃書房)
共著『アフターマーケット戦略』(白桃書房)
主な講演のテーマ
1. アフターコロナの日本の企業戦略〜経営とモノづくりの現場から〜
世の中の変化には過去の延長線上に将来が予測できる漸進的な変化と、過去との連続性のない非連続な変化があり、後者が不確実性の高い社会といいます。コロナ禍はまさに日本や世界の経済や社会に複雑性をもたらしました。このように不確実な世の中では何があたり何がはずれるかの予測がつきません。将来の事業計画を立てるときに過去のデータを一生懸命分析しろというマネジャーはたくさんいますが、不確実性の高い世界では過去のデータの延長線上には未来はなく、これまでとは異なる意思決定や戦略の立て方が必要になります。つまり、なにがあたるか分からない世の中では、一つの戦略を後生大事に遂行するより、数打っていくつか当たれば良い、当たりの数を増やしたければ、数多く撃てば良い、という考え方のほうが正しいのかもしれません。不確実性にそなえるランダムな戦略を実行するためには、柔軟で多様性に富んだ組織が向いています。これからの不確実な世の中でランダム戦略を実行できる組織の特徴や要件を明らかにします。
2. 日本のものづくりの品質と価値
日本の製造業は品質が高く時に過剰品質とも言われるが、同時に昨今では品質不正などのトラブルも続いている。一見すると相反する事象のようであるが、根本の問題は共通している。技術をみがくだけで価値創造ができていた 20 世紀のものづくりから、激しい国際競争のなかで技術だけでは価値残れない現状に直面し、価値獲得につながらない品質向上競争によって現場が疲弊している。企業が研究開発活動を通じて価値獲得、すなわち収益化を果たすためにはなにが必要なのか、製品価値の本質を解説する。
3. 効果と効率の経営戦略と経営学から見たダイバーシティマネジメント
効果の追求と効率の追求は一見同じように見えて正反対の活動である。効果の追求とは多様性の追求であり、緩やかな組織(有機的組織)による緩やかなマネジメントが求められる。反対に、効率の追求とはムダを排除するプロセスであり多様性は阻害される。こうしたプロセスは厳格な組織(機械的組織)によって運営される。事業がどのような状況に面しているかによって効果と効率を使い分けることが優れたマネジメントには求められる。また、効果的マネジメントに必要な多様性の議論をダイバーシティマネジメントという観点で議論し、社会的正義ではなく、経済的なメリットとしてのダイバーシティのあり方を提言する。
4. 日本と台湾の協業にみる日本の国際分業
日本と台湾は近しい文化を持っているがビジネスのスタイルは正反対であり、だからこそ相互補完的な協力関係か成り立つ。さまざまな日台アライアンスの事例から日本企業の優位性と不足している能力を浮き彫りにして、国際的なオープンイノベーションが進む競争環境の中で日本企業が生き残るための方策を考える。
5. 5G 時代の展望〜世界を見据えた企業戦略を〜
過去の携帯電話規格の標準化は日本の技術によって達成されたが、技術者だけが標準化に参加されており、ビジネス戦略に結びつかなかった。また次世代技術の開発には現在のビジネスの成功による投資原資も必要である。中国は独自のネットワークを構築し、自動運転や遠隔医療の分野で競争力を高めるため、過去の資産を捨ててでも5G の最適化を図ろうとしている。5G のケーススタディをも元に、大局観を持った企業戦略の必要性を説く。
■ その他のテーマ
「日本のものづくりと DX の本質」「コロナ時代における企業の価値提供とは」
「コロナ禍の日本の製造業の生き残り策」「日本企業グローバル市場への再チャレンジ」