竹下和男さん 講演会講師のご紹介

2019.07.18

2019.07.18

いま全国の小・中学校や高校にまで広がっている「弁当の日」を知っていますか?

香川県の小学校の元校長・竹下和男さんは、「弁当の日」の提唱者。
全国で「弁当の日」の講演・執筆活動を行っています。

「弁当の日」とは、親は手伝わず、子どもたちが自分でつくった弁当を持って登校する日のことです。2001年に香川県の滝宮小学校で始まり、いまでは全国47都道府県の約1000校で実践されています。

自分で献立を考え、材料の買い出しから調理、弁当箱詰め、後かたづけまで「ひとり」でこなしてつくる。

そんな弁当づくりの体験をつうじて、子どもたちは自己を肯定し、親への感謝の気持ちを持ち、食べ物と命の大切さに気づきはじめます。

“弁当の日”がもたらす場面

今から10年前、滝宮小学校で”弁当の日”を始めますと言ったら、
お母さんたちは最初嫌そうな顔をしました。

しかし、すべてを子どもたちだけでやり、親は手伝わないこと、
さらに5年生の1学期から家庭科で調理の仕方を教えますと説明すると、
とたんにニコニコして、どうぞおやりくださいということになりました。
以来、ずっと続いています。

滝宮小学校にはランチルームがあり、”弁当の日”は、
そこで1年生から4年生は給食、5・6年生が自分で作った弁当を食べます。

1年生の隣で弁当を広げている6年生の写真があります。
6年生の弁当の中身を横目で見ている1年生の表情はなんとも恨めしそうです。

この子には、早くあんな弁当を作って持って来たい、
早く5年生になりたいという心理が芽生えています。
そして、家に帰るとお母さんに「料理教えて」と言うでしょう。

“弁当の日”は、このように、大人になりたいと思わせる場面を作ってやることが狙いです。

1歳から7歳までは模範と模倣の時期、必死で周りのことを真似しようとします。
だから、子どもにして欲しいことは親がして見せることです。

食事を作るだけでなく「片付けをするとさっぱりして気持ちいいよ」と
親が楽しそうに片づけをすれば、真似をして手伝いをしに来るはずです。

滝宮小学校の”弁当の日”2期生で、11回の弁当を作った男の子が
「ぼくは、弁当を全部自分で作れるようになりました。
でも、お米を作っていません。野菜も作っていません。魚も取っていません」
そして、「弁当箱の向こう側にたくさんの見えない大人たちがいる。
自分一人では弁当を作れません」と言ったのです。

作る側に立って初めてわかったのです。
こういうことに思い至った子どもは、大人になってどんな仕事についても、
感謝の心や、だれかの役に立つことの喜びをイメージできるようになるのです。

毎日繰り返される食事の中で、
生きていて良かったと思わせるような経験をさせられれば素晴らしいと思います。

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