きむ みょんす金 明秀
- 肩書き
- 関西学院大学社会学部教授
- 出身・ゆかりの地
- 福岡県
この講師のここがおすすめ
問題なく日本社会に適応しているかのようにいわれる、在日韓国人の人々。
しかし、実際は、その多くが成長の過程で日本人側の偏見と差別にぶつかり、アイデンティティの葛藤を体験しています。民族問題を研究されている金明秀さんの講演では、在日韓国人の方々への聞き取り調査や研究を元に、民族問題についてお話いただけます。今後の日本のあり方について考えることができる講演です。
プロフィール
1968年、福岡県生まれ。関西学院大学社会学部教授。
専門は計量社会学。テーマはナショナリズム、エスニシティ、階層など。
九州大学文学部哲学科(社会学専攻)卒業。大阪大学人間科学研究科博士課程修了。京都光華女子大学准教授を経て現職。在日コリアンについてのウェブサイト「ハン・ワールド」を主催。
主な講演のテーマ
1. レイシャルハラスメントとはなにか
古くからの被害実態にもかかわらず日本では広く知られていない人種・民族的要素に基づくレイシャルハラスメントについて、基本的な考え方、被害の抑止・救済の活動の手がかりを、多くの具体的事例を用いてわかりやすく解説する。
2. 日本における人種差別の被害実態
「人種差別」というと米国など多民族国家のできごとだと考えている人が日本には少なくないが、じつは諸外国ではすでに過去のものだと理解されている古いタイプの人種差別が日本では野放しになっているなど、むしろ人種差別はこの国で一般的に見られる事象。そのことを法務省による「外国人住民調査」に基いて解説する。
3. ヘイトスピーチ問題の現状、およびそれを支える排外主義の実態
ヘイトスピーチ問題は2013年ごろから日本でも注目を集めるようになったが、「一部のおかしな人達による問題行動だ」という誤解がたえない。ヘイトスピーチ問題の背景には高進する排外主義があり、排外主義の背景には日本社会の基底的な文化があるということを解説する。
4. 在日コリアンの歴史と現状
在日コリアンをめぐる政策には戦前から現在まで一貫性があり、それをモデルケースとして他の外国人に対する政策も行われている。在日コリアンの歴史を学ぶことではじめて現在の外国人労働者問題などについても理解することができる。細心の学問的知識に基づいて、歴史と現状について解説する。
5. 差別はなぜ《いけない》のか
差別が《いけない》ことだということについてはほとんど異論は出ないが、なぜ《いけない》のかと問われてもなかなか答えることはむずかしい。「公正」の観点からこの問題をわかりやすく解説する。
6. 多文化主義とはなにか
多文化主義という言葉は日本でもしばしば見かけるが、日本に多文化主義の実態がないため、多くの場合、上滑りな理解にとどまっている。多文化主義をめぐる言葉の歴史を整理することを通じて、グローバル化する日本社会の課題を論じる。